2004-01-01から1年間の記事一覧

笙野頼子『金毘羅』

多くの書評で絶賛されているので読んでみた。 読んでみて、書評が絶賛しているような試みが実際になされていて、すごいなぁとは思った。 だけど、試みのすごさと読んでいて楽しいというのは比例しないものなんだよなぁ。この楽しさっていうのは人それぞれの…

津島佑子『ナラ・レポート』

母と子の物語、ナラという土地の物語が現代と中世という時代をこえて錯綜し、死者との交信が行われる。 母子の物語としてふつうに楽しめ、そのなかに中世の物語が含まれてくるのでそのような形式性や文体を吟味することも可能だろう。 いずれにしても、私は…

群像1月号

大江健三郎「むしろ老人の愚行が聞きたい」 『さようなら、私の本よ!』第一部。『取り替え子』、『憂い顔の童子』の続編といった感じか。大江健三郎の小説の要素が散りばめられている。だけど、まだ全容が見えないのでなんとも言えない。

『極西文学論 Westway to the World』仲俣暁生

面白かった。文芸雑誌『群像』で連載されていた際にも読んでいたので再読に近い。 保坂和志、阿部和重、吉田修一、星野智幸、舞城王太郎を繋ぐひとつの試みとして読めた。同時代の小説家たちが何を書き、そこに通底するものは何かを、外堀を埋めるように述べ…

群像1月号

星野智幸「在日ヲロシヤ人の悲劇」 ざっと読んだ感想。 相変わらずというか政治性が強い。言い換えれば、ちゃんと現実にコミットした上で小説を書いていると言える。政治というのは結局のところ言葉だし、世の中の制度を形作っている法も言葉だし、だからこ…

エソラvol.1

伊坂幸太郎「魔王」 これはちょっと微妙な小説。細部で面白いところやはっとさせられる箇所はあるけど、全体としてはいまいち。

文学界1月号

高橋源一郎「ニッポンの小説」 高橋源一郎がそこかしこで言及している「文学」を巡るお話。今回の内容は目新しいものがなかった。次回に期待。

ファウストvol.4

読了。 文芸合宿は企画として面白かったけど、ライブ競闘小説は物足りない内容だった。短時間でそれも短編をきちんと書くのは難しいんだろうなぁ。ライブリレー小説はそれぞれの特徴が出ていて面白かったかな。 ミステリーのフロントラインでは舞城王太郎「…

新潮12月号

平野啓一郎「『フェカンにて』」を読んだ。面白かった。 主人公の大野が構想中の『フェカンにて』という小説の取材をかねた小旅行をするといった内容だろうか。車窓から見える風景を見ながらも、『フェカンにて』と自らの記憶とを重ねつつ、「死」を考察した…

ファウストvol.4

読み中。

『聖なるものと』湯浅博雄

バタイユ、ブランショ、デリダといった人たちの書物をきちんと読んでいれば、この本に述べられている内容はほとんどが既知なんだろうと思う。けれども、それら原書や類書を読んだことのない私には刺激的で面白い内容だった。とくに最後の章、文学の経験につ…

『回転木馬のデッド・ヒート』村上春樹

新装版で出てて買ったんだけど、旧版が家にあった…。でも、読んでみたらほとんど内容を覚えてなかったので良かった。 人生のようなものを回転木馬とたとえるのはどうなのだろうか。確かに最近の作家にも、なにか目に見えないものによって操られているかのよ…

The Coral 「magic and medicine」

いろんな音が弾けていて面白いし、ジャムってるのがいいかも。

福田和也編『江藤淳コレクション3 文学論1』

『成熟と喪失』を面白く読めたので、これも読んでいる。結構面白い。でも、抄録でまるまる一つを読めない部分があるのはマイナス。1960年代からそれ以降、江藤淳がいたというのは作家にとっては幸せな時代だったのかもと思う。いまはそういう批評家が見あた…

Radiohead 「OK COMPUTER」 Radiohead 「KID A」 Keith Jarret 「The Melody At Night,With You」 Polaris 「Family」

『草の上の朝食』保坂和志『プレーンソング』そのままの雰囲気が持続しているのすばらしい。工藤さんと「ぼく」の恋愛(?)も面白いし、ゆみ子との電話も良い感じ。どこがどうっていうわけじゃないんだけど、読むことを通じて得られる感覚が爽快。

『ノルウェイの森』村上春樹 『プレーンソング』保坂和志保坂和志の小説をたぶんはじめて読んだ。面白かった。登場人物(猫を含む)のそれぞれの会話だったり行動であったりがひとつひとつ面白く感じるし、そういう場というか雰囲気というかそんな感じのもの…

Radiohead「OK COMPUTER」なんとなくこればっかり。

『日本文学盛衰史』高橋源一郎 『風の歌を聴け』村上春樹『日本文学盛衰史』は面白いし、勉強になるし、考えさせられるし、とにかく読了前と読了後で自分の中で何かが変わっているという印象を持つという点で、素晴らしい作品だ。前半はふつうに小説を書いち…

Radiohead 「OK COMPUTER」

いろいろと読んだ。以下、列挙。 『アフターダーク』村上春樹 『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹 『国境の南、太陽の西』村上春樹 『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎 『ジョン・レノン対火星人』高橋源一郎 『ゴーストバスターズ』高橋源一郎どれも…

松浦寿輝『半島』 唐突に「しかし〜」と始まるけど、すーっと小説世界に入り込める。そして、いったん小説世界に入り込むと、そこには小説でしか書けない(映像化が難しい)異空間が広がっている。僕は中年ではないけど、中年のなんともいえない状況というも…

ランクヘッド『地図』 思った以上にふつうのギターロックな感じだったかも。

・星野智幸の著作を集中的に読んだ。 と、言っても、『毒身温泉』、『ファンタジスタ』、『ロンリー・ハーツ・キラー』、「アルカロイド・ラヴァーズ」だけ。 『ロンリー・ハーツ・キラー』がとくに面白かった。帯には「私は生きているのか、生かされている…

年金制度はやっぱり難しい。財政のテキストなんかを見ると年金制度は良いものだとか簡単に思ってしまうけど、それは経済理論的な面からするとそうなわけで、より実体面に、つまりは細かな制度面からするとわけわからん制度ってこと。今回騒いでいる改正案は…

『ハードフェアリーズ』生垣真太郎 読後、こういうのもありだなと思った。人生であり現実だなという感じもする。うん、ありだよ、これ。

郵政民営化

郵政改革がまた取り沙汰されている。 単純にこの時期に立ち上げるのは小泉内閣が3年経ったとか参院選が近いとかいう要因が強いとしか言いようがない。 いつもかけ声ばかりで進歩しないのは情けない。政治には実行力が求められる。郵政改革が不可欠だと言わ…

暑い。暑すぎる。 こういうときは家にひきこもるのが一番だ。

どうやら日本人の人質は解放されたようだ。でも、外国人の人質はまだ残っているんだろう。人質になった人たちへの自己責任を問う声がある。あの状況のイラクに行ったというその判断は間違いがあったと思うけど、何にもしていない自分たちが匿名で自己責任を…

『税の負担はどうなるか』石弘光著 最近の税制の問題点がわかる。ただそれだけ。目新しい内容はないけど、最近の動向を知るには十分な内容。