2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

笙野頼子『金毘羅』

多くの書評で絶賛されているので読んでみた。 読んでみて、書評が絶賛しているような試みが実際になされていて、すごいなぁとは思った。 だけど、試みのすごさと読んでいて楽しいというのは比例しないものなんだよなぁ。この楽しさっていうのは人それぞれの…

津島佑子『ナラ・レポート』

母と子の物語、ナラという土地の物語が現代と中世という時代をこえて錯綜し、死者との交信が行われる。 母子の物語としてふつうに楽しめ、そのなかに中世の物語が含まれてくるのでそのような形式性や文体を吟味することも可能だろう。 いずれにしても、私は…

群像1月号

大江健三郎「むしろ老人の愚行が聞きたい」 『さようなら、私の本よ!』第一部。『取り替え子』、『憂い顔の童子』の続編といった感じか。大江健三郎の小説の要素が散りばめられている。だけど、まだ全容が見えないのでなんとも言えない。

『極西文学論 Westway to the World』仲俣暁生

面白かった。文芸雑誌『群像』で連載されていた際にも読んでいたので再読に近い。 保坂和志、阿部和重、吉田修一、星野智幸、舞城王太郎を繋ぐひとつの試みとして読めた。同時代の小説家たちが何を書き、そこに通底するものは何かを、外堀を埋めるように述べ…

群像1月号

星野智幸「在日ヲロシヤ人の悲劇」 ざっと読んだ感想。 相変わらずというか政治性が強い。言い換えれば、ちゃんと現実にコミットした上で小説を書いていると言える。政治というのは結局のところ言葉だし、世の中の制度を形作っている法も言葉だし、だからこ…

エソラvol.1

伊坂幸太郎「魔王」 これはちょっと微妙な小説。細部で面白いところやはっとさせられる箇所はあるけど、全体としてはいまいち。

文学界1月号

高橋源一郎「ニッポンの小説」 高橋源一郎がそこかしこで言及している「文学」を巡るお話。今回の内容は目新しいものがなかった。次回に期待。