ジョン・アーヴィング『熊を放つ』

熊を放つ〈上〉 (中公文庫)

熊を放つ〈上〉 (中公文庫)

熊を放つ〈下〉 (中公文庫)

熊を放つ〈下〉 (中公文庫)

 ジョン・アーヴィングのの処女長編。1968年の作品。
 第1章「ジギー」、第2章「ノートブック」、第3章「動物たちを放つ」という構成。
 第1章のジギーとグラフの出会いだとか旅だとかは面白く読めたし、まさに青春だなぁと思うわけだけど、髪の長いガレンという女の子に出会ってから急展開。まぁ、それも含めて青春なのかもしれない。
 第2章は、正直言って長いなぁと。読んでいて疲れた。第1章の流れから読んでいると「ノートブック」というのにある感情だとか重みが出てくるし、その内容自体すごく政治的なものもあるんで捨て去ることもできないんだけど、やっぱり長いなぁと。それでもある種のユーモアだとか展開はひきつけるものがあると思う。
 第3章はグラフとガレンの旅。これもこれで青春っぽさがあるし、まさに章の題名へと話は進んでいって、終わる。
 青春ってだけでは片付けられないものが読んでいていろいろと感じられたんだけれども、小説そのものが混乱しているし小説の主人公もすごく混乱しているし作家のコントロールも混乱しているし、だけど、その混乱振りを含めた上で、やっぱり読後に何かが自分の中に残るような小説だった。