大江健三郎『洪水はわが魂に及び』
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1983/05
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勇魚とジンの父子、若者たちのグループ「自由航海団」との出会い。「自由航海団」との関係が深まるなかで、「縮む男」の行動があり、もと自衛隊の男の動きがあり、「ボオイ」の行動があり、といろいろある中で、最後は警察に囲まれ勇魚とジンの避難所に立て篭もることになる。そのなかでも無線技師や「赤面」が命を失い、どん底へと突き進んでいく。とはいえ、最後は「すべてよし!」なんだけど。
真ん中あたりで出てくるドストエフスキーの引用が非常に利いていて、それが最後まで響いてくる。最後の立て篭もりはパセティックというよりもすごくあっけらかんとしているというかそれこそコートームケーなんで、ある意味アンチクライマクスでしりつぼみ。だけど、珍しく最後の最後はクライマクスとなってちゃんと終わっている。
「自由航海団」のリーダーである喬木が説得されて最後に降伏して外に出る過程は結構感動的だった。