平野啓一郎『葬送』

葬送 第一部(上) (新潮文庫)

葬送 第一部(上) (新潮文庫)

葬送 第一部(下) (新潮文庫)

葬送 第一部(下) (新潮文庫)

葬送 第二部(上) (新潮文庫)

葬送 第二部(上) (新潮文庫)

葬送 第二部(下) (新潮文庫)

葬送 第二部(下) (新潮文庫)

 再読。再読するのが大変な圧倒的な量なんだけど、それでもやっぱり面白い。何故にこんなのを書いたんだろうかという疑問はさておき、ショパンドラクロワ、サンドらの存在がとにかく面白い。面白いというのもへんだけど、とにかく1840年前後あたりの人間が文章から立ち現れ、苦悩しているその姿を見るとなんだか今と変わらないなぁと思う。そして、ドラクロワが再三悩み考える「進歩」について、現時点で考えるにつけてなんとも不思議な話だなぁと思う。
 物語はショパンの死を辿るわけだけど、とにかくそれぞれの人物にそれぞれの物語があるんで飽かずに読めた。

 平野啓一郎は、『新潮』12月号に「顔のない裸体たち」、『群像』12月号に「『金閣寺』論」を書いているんで、読んでみようと思う。