「特集 大江健三郎『文学の言葉』を伝えるために」(『群像』11月号)

 対談がふたつ。大江健三郎清水徹による対談「詩と小説の間」、大江健三郎町田康による対談「二つのカタストロフィと二つの『おかしな二人組』」。どちらの対談も大江健三郎の『さようなら、私の本よ!』の小説技法を中心に語られている。けれども、町田康との対談では、町田康の『告白』が話のテーマともなり、ふたつの本の関係から語られている。
 講演録がひとつ。大江健三郎「われわれは静かに静かに動き始めなければならない」。大江らしい講演の内容。
 評論・書評が5つ。沼野充義「終わりの中の始まりを求めて―『古義人三部作』を読む」、小野正嗣「受けとめあう『二人組』―大江健三郎『さようなら、私の本よ!』をめぐって」、絲山秋子「『罠』と挑戦」、佐藤友哉「書くまえに読め」、福嶋亮大「喜劇と永遠性」。沼野の評論はオーソドックスな印象、小野の書評は共感できた。