古井由吉『仮往生伝試文』

仮往生伝試文(新装版)

仮往生伝試文(新装版)

 昨年の年末に復刊されたとき、急いで買っておいて、いままで読まずにおかれていた『仮往生伝試文』。読売文学賞受賞、絶版中には高値で売られていたらしいし、福田和也がなんだかほめたようで、なんだかこの本の周りをとりまく評価は高いようだ。そんなことを思いつつ読んでみたんですが、これがとても手ごわい。古井由吉のそれ以前の作品の延長にあるとはいえ、生と死の境界をゆらゆらとさまよいつづけるというのはすごい。そして、「筆が闊達に動いた」と著者がいうんだから、これまたすごい。
 だけど、もう少し年をとってから再読したいなぁと思う。そのときにはもっとこの小説から得るものが多いんじゃないかと。
 いずれにせよ、すごい。分析などできません。