青山真治「死の谷’95」(『群像』2005年7月号)

 なんとなく作家としての青山真治が気になっていたので読んでみた。兄・一郎の依頼から弟・次郎が探偵をして…という始まりで、嫂を尾行する。その探偵ごっこをきっかけに、次郎は探偵業を始めてというのが第2部。その第2部で関わる依頼が最終的には第1部に繋がっていき、第3部へ。
 とりあえず、探偵ものとして読めるんで読みやすかった。それ以外はなんとも言い難い。過去の作品をあんまり読んだことがないんでわからないけど、第1部と第2部がうまく繋がって、第3部のラストへと行くのは構成としてはうまく行ったんではないかと。左足首の違和感から異空間に入り込むのかと思いながら頭のなかでは松浦寿輝を想起しつつ、盗聴器を利用する探偵ごっこでは阿部和重も想起しつつ、勝手に楽しんで読みましたとさ。