川端康成「死体紹介人」(浅田次郎編『見上げれば 星は天に満ちて』文春文庫ISBN:4167646056)

 意外とふつうの話。英和辞書に書かれたアンダーラインのくだりから始まるのが粋かも。あとはそこかしこにユーモアやへんな見方があるのが面白い。

若い娘の贋骨にすると聞きながら、医者の妻らしく笑って、
「ちょいと待つてね。そのまま焼いちや勿体ないわ。」と、痩せた子供のためにスウプを取った、入江の細君の鬘のように濃い生え際までが、憎々しく思ひ出されて来た。