金子守『ゲーム理論と蒟蒻問答』

ゲーム理論と蒟蒻問答

ゲーム理論と蒟蒻問答

 再読。
 以前読んだときより理解が深まったなぁという感触を受けた。それはゲーム理論の考え方になれたってことなんだけれども、そんなこと以上に経済学のあり方を考えるとこういう本書に書かれているような内容を考えざるを得ないような気がする。第五曲「個人と社会」の部分は必読といってもいいんじゃないか。
 結局、こういうメタ的な方法論を考えつつ、理論検討するというのが学問のありかたなんだろうと。そして、そうしなきゃ経済学は危機。
 それにゲーム理論と市場均衡理論にしか触れてないように見えるけれども、これはミクロ的な基礎を標榜している現代のマクロ経済理論も射程圏内に完全に入っているだろう。たとえば、合理的期待理論とか。
 もちろん本書のようなどのように経済学を構成するかを考えるだけでなく、公共性とかにつなげることも重要だと思うんでそっちのほうは別のひとに頑張ってもらいたいなぁ。でも、経済学者は後者をあまりやらない嫌いがあるけれど。
 
 金子守の新著が出る予定みたい。ちょっと期待。
ゲーム論家の酔夢譚:詩の饗宴

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