大竹文雄『経済学的思考のセンス』

 いろいろなトピックに対して経済学がどういう切り口で分析しているか(これが経済学的思考)を論文等を参照しながら提示している、という内容。
 トピックのなかには肥満だとか結婚だとかといった身近な例を使っているんでとっつきやすい感じはあるんだけど、文章が硬いというか学者の文章という感じになってしまっている。まぁ、中公新書だとこういうのが多いんだけど。
 導入における、小学生への返答の流れの感じで、もっと平易に経済学的思考のあり方を提示することも可能だったんじゃないだろうかと思った。なので、インセンティブについてや因果関係のロジック部分についての経済学の考え方を提示する目的としては他の類書に劣っている気がするんだけれども、大竹文雄が研究している「格差」についての分析とか(ほとんどどのトピックもある意味格差をテーマにしているんだけどね)は読む価値がある。