筒井康隆『大いなる助走』

新装版 大いなる助走 (文春文庫)

新装版 大いなる助走 (文春文庫)

 筒井康隆の小説をあまり読んだことがないので、筒井康隆という小説家の歴史のなかでどういう位置づけになるのかとかはよくわからない。けれども、ドタバタ劇というのは好きなんで、面白く読めた。ドタバタするというのでは、阿部和重にもあるなぁとか思う。
 同人誌に初めて掲載された小説が直廾賞候補になったということから物語がばたばたと動き出し、同人誌側が戯画化され、文壇の内実が戯画化され、そこから小説をめぐる人々が描かれていく。直廾賞受賞を逃したあと、その候補者が選考委員を殺しまわっていくというお話。
 新装版のためのあとがきに書いてたけれども、いま連載中の小説の宣伝みたいなもんで、要は連載も読んでねってことかいな。たまに読んではいるんだけどねぇ。先月みたいに「文學界」を買わないってことがおきると、連載は読む気がおきない。