池澤夏樹『世界文学を読みほどく』
スタンダール『パルムの僧院』、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、メルヴィル『白鯨』、ジョイス『ユリシーズ』、フォークナー『アブサロム、アブサロム!』、ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』などの世界文学を読みほどく。京大での講義をまとめたモノ。
読みほどくと言っても、池澤夏樹が各小説のストーリーに沿いながら現在の世界とつなげて読むと言う意味であり、それぞれの小説に対して斬新な読解がなされているとは言えない。総括において、「データベースの消費」や「大きな物語の消滅」といったことも触れられているがこれも目新しさはない。そういったことは日本文学においても言われることだから。じゃあ、いったい何なんだというとこの試みは結局のところあえて言えば世界文学への誘いだろう。
とはいえ、池澤夏樹の小説観や世界の見方を感じられるし(私は池澤夏樹の小説が結構好き)、読んだことのなかった作品(私の場合、ピンチョンやフォークナーなど)を読んでみたくなるし、そういう意味では読んでも損はない本だった。
- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/01/15
- メディア: 単行本
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