堂垣園江「壁の住民」(『群像』2006年2月号)

 堂垣園江の作品をいままで読んだことがなかったのだけど、気が向いたので読んでみた。
 思ったより面白く読めた。
 ツアーガイドの羽塞が日本人の田所を連れて、中国の田舎の村へと向かう。そこで羽塞の知り合いと出会ったり奇妙な体験をする、というお話。中国の歴史だとか羽塞の考え方とか田所の見方とかいろいろ読ませる部分もあった。
 題名通りに「壁の住民」が中心にはなるんだけれども、ジャズバンドが壁の住民なのか、ツアーガイドをしている羽塞がそうなのか、あるいは別の人物がそうなのか、あれこれ考えることが可能であるし、それ以外にも中国の歴史から立ち上がる問題というのもあるし、それと比較しての日本というものも浮かんでくるし。
 結構頭に残る感じがある。