『文學界』2006年1月号

 中村文則「世界の果て」、小川国夫「葦枯れて」、青来有一「蜜」の三つの小説を読んだ。それと評論とかを拾い読み。
 「世界の果て」はなんだか微妙な感じ。世界の果てという感じを受けることが残念ながら出来なかった。
 なんとなくいつも掲載されると読んでいる、青来有一の作品。今回も長崎の中でのお話。つまり、キリスト教と原爆が出てくる。ブレーキの壊れかけている自転車、30代の女性と10代後半の男の子との(不倫っぽい)関係の展開、長崎に原爆が投下されるときの神様の不在、この3つが「ブレーキ」というキーワードで繋がってくるというのが小説の構造かな。