奥泉光『「吾輩は猫である」殺人事件』

『吾輩は猫である』殺人事件 (新潮文庫)

『吾輩は猫である』殺人事件 (新潮文庫)

 夏目漱石吾輩は猫である』の結末部分から、続くような形で展開していく。文体も模写していて面白いし、虎君、伯爵、将軍、ホームズ君、ワトソン君、マダムと「吾輩」を取り巻く猫仲間たちが多くいて楽しい。人間観察よりも猫たちの競演が面白い。
 『吾輩は猫である』に登場する面々が続々でてきて、さらにはSFっぽくなったり、そもそもが全編がミステリ形式ということで、どんどん読者をひきつける作戦にまんまとはまり、良い読書をしたなぁと読み終えた後にそう思えた。