堀江敏幸『河岸忘日抄』

河岸忘日抄

河岸忘日抄

 とにかく面白かった。けど、ああだこうだと書けない。あらすじはこれこれこうですと書き連ねてもほとんど意味がなくて、ともかく「彼」とともに思いにふけったり、文章が聞こえる音楽に耳を澄ましたりするだけでいい。そのあとには自分と「彼」を照らしてあれこれと多くのことを考えてしまうし、河岸の船の中で音楽を聴き本を読んで思考に没頭できたらなんていいんだろうとうらやましく思ったりする。いずれにしても、小説は読まなきゃ体験できないってことです。